本著書は， 文化圏の異なる国や地域を対象としたグローバル・マーケティングを推進するためのグローバル・ブランド・イメージ戦略（以下，GBI戦略）について，先行研究の渉猟とブランド・イメージ戦略の類型を整理したうえで，web上に存在しているテキスト情報からGBI戦略を製品ブランド毎に定量化し，多国間分析をおこなっている。この分析を通じて，GBI戦略の有効性が，それぞれの文化によって異なることを多面的に明らかにした優れた業績である。
　ただ，多様な戦略要素の意味や位置付けについての分析は必ずしも十分ではなく，理論編においても従来のブランド論とのつながりが明確ではないという課題も残されている。
　以上のことから，学会賞選考委員会は今後の研究のさらなる発展を期待して，第２１回日本流通学会・奨励賞を授与することとした。