第9回 日本流通学会賞
学会賞
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近藤文男著『日本企業の国際マーケティング』有斐閣、2004年6月初版(6000円)
近藤文男著『日本企業の国際マーケティング』有斐閣、2004年6月初版(6000円)
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受賞の理由
本書は475ページに及ぶ大著であり、著者の長年における国際マーケティング研究の集大成である。著者は、今日の、現実の経済はグローバル化しているにもかかわらず、マーケティング研究者にとっては、関心が薄かったとして、大手7社の電機メーカーがどのように対米輸出マーケティングに取り組んだかを、現地調査の手法により、丹念に描き出している。とくにOEM契約を利用した輸出の実証分析は秀逸であり、日本流通学会賞に値するものとの結論を得た。
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坂本秀夫著『日本中小商業問題の解析』同友館、2004年4月初版(3200円)
坂本秀夫著『日本中小商業問題の解析』同友館、2004年4月初版(3200円)
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受賞の理由
本書は400ページを超える大著である。研究対象は、大都市圏や地方都市の顔的存在である、中小商業の集積としての商店街の衰退・空洞化現象であり、「社会的弱者」の視点、「地域の振興」の視点などにより、現状の分析とあるべき政策を模索している。また、ロードサイドショップの急成長にも着目し、グローバルな商業の再編成を多くの資料・文献によりつつ、客観的に分析している。よって日本流通学会賞に値するものとの結論を得た。
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吉村純一著『マーケティングと生活世界』ミネルヴァ書房、2004年3月初版(3500円)
吉村純一著『マーケティングと生活世界』ミネルヴァ書房、2004年3月初版(3500円)
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受賞の理由
本書は247ページに及ぶ、著者の長年の研究成果の賜物である。テーマは、マーケティングと消費の関係の理論的な考察であり、それを生活世界という概念に依拠して、多くの学説のサーヴェイ、最近の理論動向などを踏まえて、マーケティング活動と消費者の活動が相互浸透する領域の剔抉に成功したことの理論的意義は大きい。今後の流通研究のために新しい理論的枠組みを提供したいという著者の意図は果たされている。よって、日本流通学会賞に値するものとの結論を得た。
学会奨励賞
該当作なし
論文賞
該当作なし