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本書は、海外ファッションブランド旗艦店の物理的環境が顧客のロイヤルティ形成や購買行動に与える効果について、定量的研究手法を用いて検証した業績である。
詳細かつ緻密な定量研究手法による、マーケティング研究と建築学における空間デザインの研究という2つの知見を融合した学際的な研究成果であり、流通論研究の分析枠組みの拡張にも貢献するものである。また、実店舗の空間的な特質とそれへの消費者の評価から実店舗の必要性の説明へと繋がる可能性をもつ労作と言えよう。
しかしながら、流通論やマーケティング論の研究のこれまでの研究蓄積へのコミットが限定的であることや、対象が限られていること等から、当該成果の一般化については課題が残る。
以上のことから、今後の研究のさらなる発展を願って,本書を第29回日本流通学会・奨励賞を授与することとした。
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