本書は,本学会ではこれまで扱わなかった領域である食品ロスの問題を多面的,包括的にまとめたものである。先行研究の整理を行った上で,事実発見,分析手法においても独自の知見を提供している。また,詳細な実態調査に基づいて食品ロスの発生メカニズムの多様性と食品リサイクルの課題を明らかにしている。さらに,近年注目されているフードバンク活動における過剰食品の有効利用について論じ,食品ロス問題の解決方策について明らかにしている。
ただ,本書全体において論点の掘り下げが,やや不十分であることが惜しまれる。今後の研究のさらなる発展を期待して,第20回日本流通学会・奨励賞を授与することとした。
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