本論文は日本のPB開発の先駆的存在であるダイエー社が1970年代後半から80年代にかけて、そのPB戦略の洗練化のためにイギリスのマークス・アンド・スペンサー社のから多くのことを学び、低価格PBから脱却して、高品質PBを開発する方策を模索したという史実を明らかにした歴史研究である。
論文は、ダイエーとその関係者、イギリスのマークス・アンド・スペンサー社の一次資料を駆使し、従来、アメリカに学んだと思われてきたダイエー社のPB戦略が、実際にはマークス・アンド・スペンサー社からの多大な影響を受けていたという点を実証している点が独創的と評価できる。
また、論理構成、史料による実証の両面で高い水準にあり、現代的な流通の課題を考察する上でも参考になる良質な論文となっている。
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