現代社会におけるブランド戦略の理解と展開のためには、カルチュラル・ブランディングの役割と機能の分析が欠かせないとする筆者の問題意識は評価できる。ブランド論には様々なものがあるが、筆者の「ブランド戦略と社会経済的な歴史的文脈」の「密接な関連の中でブランディングの位置を解明することが求められている」と言う主張は、重要である。
本稿は、カルチュラル・ブランディングというブランド戦略の事例研究と、ブランド戦略の二類型による理論的な考察を行っているが、問題意識、論文の質ともに、豊富な文献や論争を検討したあとがうかがわれる良質の論文となっている。
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