学会賞(JSDS)

第16回 日本流通学会賞

田中彰『戦後日本の資源ビジネス-原料調達システムと総合商社の比較経営史』(名古屋大学出版会)、
2012年2月4日刊行、5985円


授賞の理由 :
 第二次世界大戦後、日本が高度経済成長を実現するプロセスで、総合商社が資 源調達システムとして重要な位置を占める様になったことを、鉄鉱石にスポットを当てて解明している。また、そのような日本的資源調達システムの特性をアメリカ、中国、韓国との比較において考察し、資源ビジネスとして優位性の根拠を総合商社の総合性に着目している点は、実証的でありながら理論的な志向性をももつ魅力的な研究となっている。さらに、総合商社のビジネスモデルにとって六大企業集団の枠組みがどのような意義を持っていたのかを検討し、「六大企業集団は融合・収斂ではなく、無機能化に向かっている」と結論するなど、極めて興味深い知見が提出されている。全体に、このような分析・考察は各種統計データや社史に基づいて綿密に行われており、すぐれた研究書となっている。

第16回 日本流通学会奨励賞

佐々木保幸『現代フランスの小売商業政策と商業構造』(同文館出版)、
2011年6月刊行、3675円


授賞の理由 :
   本書は、現代フランスの小売商業政策と流通構造の分析を中心的に行ったものである。流通政策と流通活動の相互作用、流通における寡占ないし独占の問題、背後の経済社会の変容とともに語られるフランス資本主義の発展と小売業態の生成・発展の関係、流通政策と流通業の発展についての国際比較など、欧州の流通事情の研究という点でも貴重であるが、これをさまざまな視点と論点を明快な文章で提供している点は特筆される。